当院 血液透析センター 非常勤の齋藤中哉 医師の指導の下で学ぶ北米方式のClinical Case Simulation(臨床症例検討)と、庄内余目病院で行うプライマリケア実習を併せたジョイントプログラムに参加したのは、産業医科大学、佐賀大学、鳥取大学、琉球大学の4校からの5名です。
“大学では経験することのできない貴重な経験をすることができた”という、看護学生セミナーでも好評の「ドクターブルー・院内CPR体験」や、手術見学、当直見学実習、創傷ケアセンター見学実習と野末院長による講演、創傷ケアチームのスタッフによるフットケア体験にも、積極的に取り組まれていました。
| 開催期間 | 2009年8月24日(月)~27日(木) |
|---|---|
| 参加人数 | 5名 |
| 主催 | 庄内余目病院 |
今回は、医学生5名が、4日間で延べ12時間に渡り、じっくりと一症例に取り組みました。
患者さんは38歳男性・溶接工で、主訴は右側腹部痛。 嘔気と嘔吐、多飲と多尿を伴っていたことから、鑑別診断は難航しましたが、病歴と身体所見から、もっともありそうな疾患と、決して見逃してはならない疾患に分けて整理しました。 初期検査については、項目をただ列挙していくのではなく、疾患のrule inとrule outの順序を可能な限り系統的に組み立て、それに患者さんに対する侵襲度とコストを加味し、順序よく効率よく依頼していく態度の養成に時間を割きました。
患者さんは、結局、緊急入院。現在の症状に対する治療、そして、原疾患の精査に臨みました。 難しい症例でしたが、医学生参加者全員が非常に意欲的であったことから、日本語の文献2報と英語の文献1報を副読物として配布し、本質的な理解から目をそらさずに進みました。
セミナー3日目、野末睦 院長より、外科病棟のある患者さんについて、現実のコンサルテーションがありました。 往診してみると、その患者さんは、今回のケースと全く同じ原疾患を有する患者さんでした。 さっそく、患者さんと話をし、実際の身体所見、検査所見に触れ、医学生参加者は、Clinical Case Simulationが机上の空論ではなく、日々の臨床医の思考と営みそのものであることを体験しました。
(1) ベテランの指導医師と共に体験する外来診療、病棟診療、手術、検査、一次・二次救急当直
(2) 北米方式によるClinical Case Simulation
(3) 特別企画
① 「ドクター・ブルー」 ~院内CPRを体験してみよう!~
② 足の切断防止と褥瘡治療に特化した『創傷ケアセンター』見学&体験、実践型勉強会
③ 特別講演 「創傷ケアセンターと創傷治療」
講師:庄内余目病院院長・創傷ケアセンター長 野末 睦
(4) 医局懇親会 ほか。
| 時間 | 備考 |
|---|---|
| 18:00~ | Welcome Party |
| 時間 | 実習項目 |
|---|---|
| 8:15 | 集合・朝礼挨拶 |
| 9:00 | オリエンテーション / 病院見学 |
| 10:00 | Clinical Case Simulation |
| 12:00 | お昼休み |
| 13:00 | ドクターブルー・院内CPR体験 |
| 17:00 | 特別講演「創傷ケアセンターと創傷治療について」 |
| 19:00 |
当直実習(4名) |
| 時間 | 実習項目 |
|---|---|
| 6:45 | 外科・総合診療科回診(希望者) |
| 8:00 | 八時会・朝礼 |
| 8:45 | 医局会 |
| 9:00 | Clinical Case Simulation |
| 13:00 | お昼休み |
| 14:00 | 選択実習(外科手術、ホメオパシー心身外来、内視鏡など) |
| 17:30 | 実践型勉強会(創傷ケア) |
| 19:00 | 当直実習(4名) |
| 時間 | 実習項目 |
|---|---|
| 6:45 | 外科・総合診療科回診(希望者) |
| 8:00 | 八時会・朝礼 |
| 9:00 | 選択実習(心臓血管外科手術、外来、病棟、透析、内視鏡、心カテなど) |
| 12:00 | お昼休み |
| 13:00 | Clinical Case Simulation |
| 19:00 | 懇親会 |
| 時間 | 実習項目 |
|---|---|
| 6:45 | 外科・総合診療科回診(希望者) |
| 8:00 | 八時会・朝礼 |
| 9:00 | 選択実習 (外来、病棟、透析、内視鏡、心カテなど) |
| 12:00 | お昼休み |
| 13:30 | Clinical Case Simulation |
| 15:30 | 体験レポート作成 |
| 16:00 | まとめ・懇談会・修了書授与 |
| 17:00 | 終了・解散 |
セミナーへ参加した医学生の方々に感想を書いていただきました。
CCS、CPR体験、創傷ケアについてのレクチャー、見学・実習、回診、心外手術、透析の実習見学、ホメオパシーのレクチャーと、本当に様々なことをさせていただき、常に充実した時間を過ごさせて頂きました。
病棟では先生方のご親切なコメントを頂きながら臨床のフットワークを体験させていただき、会議室でのCCSでは、臨床のフットワークに即した思考過程を導いていただいて、日々求めている理想の学びの場にやっと出会えました。
また、他大学の方々と一緒に学ぶことができ、大学間の違いや同じところを知ることができました。
最後になってしまいましたが、最も大きかった事は、余目病院の皆さん、ここに集まった学生に出会えた事だと思っております。 特に研修医の先生に飲みに連れて行っていただき、おそらく疲れ果てさせてしまったのではないかと危惧しておりますが、本当に楽しく飲ませていただいた事、懇親会にて先生方、職員の方からたくさんのお話を聞かせて頂いて楽しい時間を過ごさせていただきました。
今回の医学生セミナーで得たものは、大きくわけて3点あります。
1点目は、勉強にはイマジネーションが必要だということ。
今回のCCSにあって、大学で行っている学生主体のPBLにはないものは、臨場感だと思いました。
大学のPBLでは、CCSと形式はそれほど変わりないのですが、知識をアウトプットするだけの場になりがちです。 症例に合わせて鑑別診断の優先順位のつけ方を考える、検査項目ひとつひとつに焦点を絞り取捨選択する、疑問はすばやくすくいあげてlearning issueにする、病態生理まで踏みこむ、わかっているようでわかっていない、あるいは忘れがちになっている重要な知識は、文献や資料でみんなと共有する、今回のCCSで行ったようなことを、自分たちの勉強会では、つい手抜きしていたことに気づきました。 確かに、スーパーバイザーがいないなか、ここまで踏みこんだ勉強会を行うことは大変です。 しかし、今回のCCSのような行程のなかにこそ、PBL形式の本来の長所があるのだと思いました。
また、CCSを進めるなかで、PBL形式が、臨床における理想的な思考回路そのものであり、それを養うトレーニングだということを再確認しました。 さらに、臨床的な思考力のために必要だけど働き始めてからは忙しすぎて勉強しづらい知識を、時間のある学生のうちに集中的に学ぶ機会を得られることもPBLの真髄です。 現場で働いたことがない自分たちが、このように将来を見越して必要な能力を身につけることは難しいことですが、イマジネーションをもてば、これまで以上にPBLの利点を生かした勉強会にすることができると思います。
CCSでは、自分が臨床の現場にいて症例を経験しているような錯覚がしました。 この直観を忘れず、今回学んだ知識やテクニック的な要素を、自分たちの勉強会に反映させたいと思います。
2点目は、フレキシブルであるべきだということ。
これは、齋藤中哉先生や野末院長をはじめとする余目病院のスタッフの方々の姿勢から学んだことです。
例えば、齋藤先生は、CCSの途中で今回の症例に似た患者さんについて知ると、即座に私たちをその患者さんのもとに連れていってくださり、そのおかげで、私たちは、実際の身体所見や付随する知識についてしっかり学ぶことができました。
フレキシブルであるというのは枠にとらわれないということだと思います。 自由というのとはまた違います。 しっかりした目的があるからです。 その目的は何かと言いますと、ニーズを見つけ、そのニーズに応えることです。
余目病院の形態そのものも、とてもフレキシブルだと思いました。 褥瘡ケアやホメオパシーなど、全国でもめずらしい診療をされていますし、療養型が充実している一方で、心臓センターや透析など専門性の高い医療が稼働しています。 驚くべきことは、どれもが、遠方から患者さんが来るほど、高度な技術を誇っていることです。 また、どの医療スタッフも、それぞれの専門性を生かし、有機的に関わり合ってらっしゃいました。
既定概念にとらわれずフレキシブルだと、目標を見つけやすくなり、目標に到達するスピードも早まります。 そのうえ、可能性が広がるので、希望をいつもでも持ちつづけることができます。 何より、人々がいきいきします。
そのようなことを余目病院で実感しました。 私も、フレキシブルな姿勢を忘れない医者になり、フレキシブルな生き方がしたいと思います。
3点目は、NO BLAME POLICYの大切さです。
日本人はコミュニケーションが苦手な人が多いと言います。 私もその一人です。 自分の考えを言語化することから苦手意識がありますし、効果的に人に伝えるすべも身につけていません。 やみくもに考えをまとめたところで、いざ発言する勇気がなく、だまっていることが多いのでおとなしい人だと思われることがよくあります。 周囲を観察しているうちは、空気が読めるのですが、発言しなければならない環境下におかれると、緊張してしまい、周りが見えなくなって、発言するタイミングや方向性を誤ることもしばしばです。 とにかく、声を出すことが苦手なのです。
どうして、コミュニケーション能力が低いのかと言えば、コミュニケーションのトレーニングを行わない日本の教育のせいでもありますし、積極的に発言しなくても無難にやり過ごしていける、日本の環境に甘えてきた自分の責任でもあると思います。
そんな悩みを齋藤先生はくみ取ってくださり、セミナーの後、フェードバックのメールで、具体的なビジョンを示されました。 「躊躇せず、おどおどせず、人を待たせず。澱みなく、しかし、セールス・トークにならず。へりくだりすぎず、しかし、尊大にならず。長いなあと感じさせず、しかし、短すぎず。聴く人の記憶に残る簡潔なスピーチも、対人技術の一つです。」役に立つ、ありがたいアドバイスでした。
対人技術を磨くうえで必要なのは、トレーニングとなる機会と、NO BLAME POLICYだと思います。 今回のセミナーでは、このふたつの環境があったので、躊躇することなく、発言する練習ができました。
トレーニングとなる機会は、日常にも探せばたくさんあります。 積極的に機会を得て、こわがらずに発言していきたいと思います。 NO BLAME POLICYの環境は、周囲にない場合は自分で創っていかないといけません。 野末院長が、「人を変えたければ、自分が変わらなければならない」とおっしゃっていたように、自分自身が、周りの人たちに対して、どんな意見でも肯定的に耳を傾け、発言そのものを支持する姿勢を常にとるように、自分を変えていきたいと思います。 もちろん、目上の方や同期の人々に対してだけでなく、後輩や、自分より知識や経験が浅い人に対しても同じです。 NO BLAME POLICYを広めて、誰しもが、成長しやすい環境を築いていきたいです。
今回、私たちが成長する機会を与えてくださった余目病院のみなさま、野末院長、そして齋藤中哉先生、本当にありがとうございました。心からお礼申し上げます。
この度、4日間、医学生セミナーに参加させていただき、また、実習をさせていただき、本当にありがとうございました。
僕が、このセミナーに参加できたは、斉藤先生のおかげでした。 自分の学校でも、本セミナーでやったのと同様に、PBLを使った授業を行い、また、自分自身、医学英語を使用する、PBL形式の勉強会サークルに入っています。 そして、そのサークルに、時々、斉藤先生がお越しになり、今回のセミナーのことを知りました。 また、それだけでなく、自分が、実習に入る前に、実際の病院実習を経験してみたいという、この2つの思いがあり、実習に応募することにしました。
実際、この病院で、4日間実習してみて思ったことですが、先生方、一人一人の診療に対するモチベーションが非常に高く、医療のこと以外のこともしっかりとした見識を持っており、本当に日本の医療について真剣に考えておられると思いました。 特に、朝礼での新聞読み、3分間スピーチは印象に残りました。 これをすることによって、他の病院ではどのような地域に特化した医療を行っているのかなどがよくわかるし、また、他の人の意見を聞くことによって、他人の考えを理解できるし、お互いの信頼関係が増すと思いました。
また、斉藤先生のセミナーに関してですが、自分たちの大学で行っているPBLが、まだまだ未熟なものだと思い知らされました。 自分の学校では、PBLをやっていても、人によってモチベーションがぜんぜん違っていたり、人によっては、早く終わらせて帰りたがっている人がいたりして、十分にPBLが行われていないところがあるからです。 これに対して、斉藤先生のPBLでは、疾患や検査に関して、何故それらの疾患が考えられるのか、何故その検査が必要なのかを、十分に精査できました。 また、それだけでなく、どの疾患が優先的に考えられるか、どの検査を優先的に行うべきなのかを十分に考えることができました。 このことは、自分の学校にきちんと持ち帰り、みんなにも伝えていかなければならないことだと思いました。
このように、この4日間は、自分の人生の中でも、特に充実した日々でした。 このような日々を送ることができたのは、病院のスタッフの皆さん、そして、一緒に実習をした4人のおかげだと思います。 本当にありがとうございました。 この経験を、これから生かせるように頑張っていきたいと思います。
最後に、全体を通してですが、この4日間は、本当にいろいろなことを勉強させていただいたと思いました。 それは、PBL式授業や実習といった学術的なことだけではありません。 患者さんと接することによって、今、何を必要としているのか、何を不安に思っていらっしゃるのかを、しっかり学ばせてもらいました。 また、病院の先生方からも、現代の地域医療は何が問題になっているのか、どのようにすれば日本の医療がよくなるのかをしっかり学ぶことができ、それについて熱く議論することができました。
日曜日から木曜日までの5日間、ありがとうございました。
以下に5日間の感想を綴っていきたいと思います。
まず斎藤中哉先生のClinical Case Simulation(CCS)ですが、一言でとても勉強になりました。
CCSは症例から鑑別、検査、診断、治療方法の検討を少人数でおこなうセミナーですが、
私の大学でも同じようなtutorialが行われています。
しかしながら大学では指導教官の指導方法に対する経験不足、学生のモチベーションのムラなどが主に問題となり、やる気のある学生が必ずしも恵まれた環境で学ぶことができていない気がします。
一方で斎藤先生のCCSでは斎藤先生がハワイ大学から持ち帰った独自の方法で学生達の考えを上手く発言として促し、本当の意味でのDiscussionが出来た5日間だと思いました。 勿論、このようなセミナーに来た、他大学の医学生仲間のモチベーションの高さは言うまでもありませんでした。
余目病院自体について、私は大学病院の他にもいくつかの病院を見学してきましたが、それらと比較してもいずれの科のドクターも優秀でおられ、また日本トップレベルの創傷ケアセンターやホメオパシー専門医の存在など、この余目病院の独自性も目の当たりにしてきました。
このようなハードな部分に加えて、セミナー中は斎藤先生や院長の野末先生を中心に多くの先生方や病院事務スタッフの方々と、多大な時間を気さくにセミナー以外の場で過ごさせて頂き、人間的に温かみを感じる場でもありました。
私は現在5年生ですが、この余目病院でのセミナーを通じて、自分の進路の病院を決める上での一つの指標を見つけられたと思っています。 それは余目病院の様に、ハード面とソフト面がバランス良く備わっている病院だという事です。
医療の質の高さだけでなく、人間的な温かさを持つことこそ、自分が安心して成長していける場だと思います。
もう一つ得ることが出来たのは、余目病院でのCCSを通じて自分に何が足りないのかを明確に出来たという事です。
この「気付き」の過程は斎藤先生や他の医学生仲間達なしでは達成することが出来ませんでした。
最後に、このようなセミナーを通じ、まだまだ自分の知らぬ色々な個性を持つ方々にお会いできた事で、これからの医療人生が今はもう楽しみでしょうがありません。 余目でお会いした皆様、本当にありがとうございました!
第7回医学セミナーでは、大変お世話になりました。
現在4年で、ポリクリはおろか診断学も未習で、日々臨床の講義を受動的に受けている私にとって、まだ病院見学は遥か先だと感じ、「セミナー」という形に魅かれ今回参加させていただきました。 ハワイから来られる、斎藤中哉先生のセッションを受けてみたいという気持ちも多かったです。
一言でいえば、贅沢な経験をすることができました。
12時間にわたるCCSでは、実際の診療に沿う形で進められ、非常に新鮮でした。 またメンバーや先生と温かい雰囲気で、時に引き締めてディスカッションをすすめ、また症例に似た患者さんと接することもでき、知識に限らず多くのことを学べました。
また院内では余目病院の特色である創傷ケアの見学や実習に参加させていただき、専用靴を履いている患者さんの喜んでいらっしゃる姿が印象的でしたし、ホメオパシーのお話を伺うことができました。 外来見学や当直実習も初めての経験で、この時期に得られたものは大きかったと思います。
斎藤先生、野末院長はじめ、院内の方々はいつも親身でよくしていただきました。 どこにいても雰囲気がよく、充実した実習を終えられました。 この場を借りて皆様に感謝申し上げます。
この機会を無駄にせず、また機会あれば余目に伺いたく存じます。 ありがとうございました。
