診療内容
当院の外科の特色の一つに、小さな傷口でできる腹腔鏡手術の発展があげられます。一つの孔(傷口)から手術を行うシングルポートサージェリーを庄内で初めて行い、2011年度からは胃・大腸手術、胃ろう造設術にも応用してきました。さらに今年度からはソケイヘルニアに対しての腹腔鏡手術も導入しました。今後は内視鏡と腹腔鏡のコラボレーションによる低侵襲治療に積極的に取り組みながら、近年注目を集めている「NOTES」と呼ばれる体表面に傷を一切作らない手術の導入にも力を入れていきます。
《主な腹腔鏡下手術》
- 胃がん、胃腫瘍に対する腹腔鏡補助下胃切除術、胃全摘出術
- 大腸がん、大腸腫瘍に対する腹腔鏡補助下大腸切除術
- 胆石症に対する腹腔鏡下胆のう摘出術
- ソケイヘルニアに対する腹腔鏡下ヘルニア根治術
特に力を入れている治療
シングルポートサージェリー(単孔式内視鏡手術)の導入
腹腔鏡手術は一般的には4箇所の孔(5mm~20mm)を開けて手術を行います。近年では更なる低侵襲を求め、腹腔鏡で使用する傷(孔)の数を減らす試みが行われております。その一つが「シングルポートサージェリー」です。この手術は臍部の上に25mm程度の傷をつけ、そこから手術器具・内視鏡カメラを挿入して手術を行います。傷が一つだけで術後の痛みが少ない、在院日数が短いなどの利点も多くあり、体力的に手術が困難な方や高齢者の方でもお勧めできる治療法です。日本では2008年より認可され、当院でも2009年より導入しており、炎症の少ない胆石症や胆のう摘出術、大腸手術などにも積極的に取り入れております。
腹腔鏡下ヘルニア根治術について
下腹部と臍部よりポートを3か所挿入して手術を施行します。ポートから腹腔鏡を腹腔内に挿入し、ヘルニア門を同定します。そのうえでヘルニア門をメッシュと呼ばれるシートで補強します。従来の開腹手術は、やかんに空いた穴に対して、外から穴をふさぐようなものでしたが、腹腔鏡手術は内側から穴をふさいで修復するものですので、極めて理にかなった手術法です。
1980年代に行われ始めた手術法で、日本でも徐々に増加してきており、当院でも2015年度から導入して積極的に手術施行しております。
▼手術の流れ(例:右内鼠径ヘルニア) Right side
Right side, direct hrenia (JHS:typeⅡ-3)
≪腹腔鏡手術の利点≫
- ヘルニアの場所と大きさの診断が確実にできる
腹腔内より直接ヘルニア門の確認ができるため、診断が確実です。
また、反対の鼠径部を確認することができるため、例えば反対側に小さなヘルニアを認める場合には、同時に手術することも可能です。 - 別のヘルニアも同時に治療
鼠径部には鼠径ヘルニア以外にも大腿ヘルニアといった他のヘルニアも発生することもあり、それらを含めて補強することができます。 - 術後の創部、痛みを最小限に
創が小さいため、術後の痛みが少ないです。
従来の開腹手術では5㎝程度でしたが、ポートの傷は5㎜のため、ほとんど目立ちません。 - 入院期間の短縮
術後は早ければ翌日に退院できます。
NCDデータベース事業への参加について
当院では一般社団法人NCDが運営するデータベース事業へ参加しています
当院では、医療の質向上のため、一般社団法人NCD(National Clinical Database)が運営するデータベース事業へ外科関連の手術情報の登録を行っています。一般社団法人NCD(National Clinical Database)の詳細は、下記資料をご確認ください。
患者さんへ 専門医制度と連携したデータベース事業について
なお、ご不明な点がありましたら、当院 診療情報管理室までご連絡ください。