腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアとは

椎間板とは、腰椎の椎体の間にあるクッションの役目をする板のことです。この椎間板が変性して後ろに飛び出してくると、脊髄神経を圧迫して様々な症状(腰痛、下肢の疼痛やしびれ、脱力など)が現れます。この症状を腰椎椎間板ヘルニアまたは腰椎ヘルニアと呼んでいます。
また、ヘルニアによる神経の圧迫が強くなって、上記の症状が急激に悪くなり、排尿排便障害を伴うことがあります。これを急性馬尾症候群といい、緊急手術が考慮されます。

検査について

腰椎椎間板ヘルニアの診断のためには、神経所見と画像検査(レントゲン検査、MRI検査)を行います。
必要に応じて、CT検査、脊髄造影検査などを追加します。

当院での治療について

保存的治療
軽いしびれなど症状が軽い場合には、安静、薬剤の投与、神経や硬膜外の痛み止めの注射(ブロック)、コルセット装着、牽引等により治療します。
椎間板内酵素注入療法(注射治療)
当院では、2023年11月より施行可能となりました。局所麻酔下でヘルニアを起こした椎間板の中に薬を注射する治療法です。傷口は注射痕のみで、入院期間も1泊2日と短く済みます。

《治療内容》

ヘルニアを起こしている椎間板の髄核内に、酵素を含んだ薬剤を直接注射する治療法です。有効成分であるコンドリアーゼという酵素の働きで、髄核の構成成分であるプロテオグリカンを分解させ、水分による膨らみを適度にやわらげます。その結果、ヘルニアの神経への圧迫が軽減し、痛みやしびれの改善が期待できます。

手術による治療
2〜3ヶ月の保存的療法による効果が思わしくない場合や、疼痛・脱力が進行している場合、歩行障害が明らかな場合は、手術により神経の圧迫を取り除き症状の軽快や進行予防をはかる必要があります。急性馬尾症候群をきたした場合は緊急手術による脊髄神経の減圧を考慮します。手術は一般的には椎間板摘出術が行われます。

《治療内容》

腰椎椎間板ヘルニアに対する18mmの筒型開創器を用いた低侵襲手術です。傷は2cm程度で背骨の筋肉を最小限にはがすので、将来、脊柱の不安定性が起こる可能性が少ないです。入院期間は術後3日〜1週間程度になります。