脊髄空洞症・キアリ奇形

脊髄空洞症とは

脳や脊髄は脳脊髄液という水のような液体の中に浮かんでおり、外部からの衝撃から守られています。脊髄空洞症とは、脊髄のなかに脳脊髄液がたまった空洞ができる病気です。
この病気の多くは、後頭部の奥にある小脳が生まれつき脊髄の方へ下に落ち込んでいる(キアリ奇形といいます)ことが原因で起こります。他には脊髄損傷や、脳脊髄の癒着を起こすような病気でも起こることがわかっています。
脊髄は脳と手足・胴体をつなぐ神経線維の束ですから、この部分に空洞ができると感覚障害者運動麻痺が現れてきます。

キアリ奇形とは

小脳、延髄および橋の発生異常を基盤とする奇形で、小脳・脳幹の一部が大後頭孔を超えて脊柱管内に陥入する形態を呈する疾患です。
キアリ奇形は頚椎MRIで大後頭孔から小脳扁桃先端が下垂していることで診断されます。また、脊髄空洞症、側彎症、水頭症の合併が多く見られます。20〜40歳台の成人に多く発症し、女性に多い傾向にあります。
症状は頭痛や頚部痛が多く、脊髄空洞症を伴っている場合は、上肢の疼痛や脱力、温度に対する感覚の減弱などがみられます。

キアリ奇形I型のMRI
小脳の一部が脊柱管の中に下垂している(矢印)

治療について

頭痛などの症状が強い場合や脊髄空洞症による上肢症状が進行するときには手術が考慮されます。
手術は大後頭孔部の髄液循環障害を改善する目的で、大後頭孔減圧術が行われます。術後に頭痛は改善することが多く、脊髄空洞症による側彎や温痛覚障害は改善しにくい傾向があります。